脚色される心の遺失物

(今日のコトバ)

 

 

心の遺失物取扱所は、名前を確かめなくても、

忘れ物を返してくれます。

突然、勝手に返してくれます。

 

 

 

 

突然、想い出すことがある。

何かをきっかけに、

あの日、あの時の人生の場面を

鮮明に蘇らせる。

記憶、という遠い日の場面。

勝手にあらわれては、

勝手に消える。

遺失物と違うのは、

その場面を微妙に脚色しているということ。

都合いいように。

誇大妄想のように。

より淡く、より楽く、

人生の通り過ぎた時間を脚色している。

そして、人はその脚色された心の遺失物によって、

救われている。

現実より、優しい場面になった遺失物。

この遺失物が見つかったことによって、

また、人生を生きていこうと思う。

心の渇いた部分を、

ちょっとだけ潤す。

ありがたいことに、

この機能を人は持っている。

上手に使えば、

人生はとてもいい時間の贈り物になる。

心に届いた遺失物は、

現実を、より優しくラッピングしている。

その遺失物があれば、

もう一度、頑張れる。

元気になれる。

もっと何かをしようと思う。

その遺失物を大切にするのだ。

 

 

 

 

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