(今日のコトバ)
漂流したことのない人間に、
安住の地はわからない。
転校が多かった子供。
家族以外の人たちと暮らした子供。
あるいは自ら放浪癖のある人間。
ここという場所をもたず、
新しい環境から新しい環境に移る人々は、
きっと、安住の地はどこかわかっている。
場所だけでなく、人間が安住の地になることもわかっている。
もちろん、普通と思われる生活をおくっている人にも、
社会の中で漂流を余儀なくされ、
定まらない生き方をしている人もいる。
その人たちだって、場所がどこだか、人が誰だか、
戻るべき場所がどこになるかを考えながら生きている。
つまり、人間が漂流するのは、安住の地を探しているのに他ならない。
そして、この安住の地を知るからこそ、
人はまた旅立てるのだ。
だから、もっともっと遠くまで行ってみよう。
遠距離まで動いてみよう。
自分にとっての安住の地がどこにあるのか
明快になるはずだ。